二度漬け禁止

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Perfumeの3人へ 今武道館を振り返って言いたいこと

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Perfume、武道館で「彼氏募集中」披露!すごろくコーナーにファン歓喜 - 音楽ナタリー

Perfume「LIVE 3:5:6:9」の思い出についていつか書き留めようと思いつつ、すっかり時間が経ってしまった。
ここに来て改めて書こうと思ったのはナタリーの以下の記事と、昨夜11/14(土)に放送された「SWITCH」でPerfumeと志村けんの対談を観たからだ。
自分があの日武道館で感じたことと、記事や放送を観て感じたことをふまえて、彼女たちへ向けてどうしても今言っておきたいことがある。
natalie.mu
www4.nhk.or.jp


長年のファンほど見るべきだった武道館

私は「LIVE 3:5:6:9」に9/29(火)・30(水)の二日間参加した。正直ここ近年のPerfumeライブの中では一番心を揺さぶられて、泣きながら家に帰った。
彼女たちを好きになってもう9年近く経つけど、今回の武道館ライブは長年彼女たちを観てきたファンこそ絶対に行くべきライブだったと思う。あまり歌いたくない昔の楽曲まで引っ張りだして、すごろくでセットリストを決めるというサービス精神あふれる構成は、長年彼女たちを追いかけてきた人たちへの「Fan Service」だったし、最後の「STAR TRAIN」で彼女たちの歴史を振り返る映像に、涙腺をやられたファンも多かったのではないか。


今回のライブツアーはPerfumeじゃないとできないものだった。長年ファンと培ってきた信頼と絆がないと、あんな素晴らしいステージにはならない。もうずっと一緒にいるから、特に改めて意識もしないけど、なんだかんだでこの人だな〜みたいな、長く連れ添った夫婦のような、あたたかい情と空気感がライブ中ファンとPerfumeの間に垣間見えて、ここまで培ってきたものにじーんときてしまう。そういうシーンがたくさんあった。
最高を求めてやってきたのに、さらにここからがスタートラインだって言い聞かせて新しい世界に挑む魂は孤高で美しい。そんな決意とか姿勢がただただ胸を打つ。そういうライブだった。

新しいことにチャレンジしたい

近年のPerfumeは「新しいこと」に本当に貪欲だった。
ライゾマティクスが2010年の東京ドームでチームPerfumeに参画して以来、テクノロジーを使った演出はどんどん存在感を増してくるし、ついにはITと音楽の祭典「SXSW」にまで出演を果たした。
2012年からは海外進出する動きも加速し、長年在籍した徳間ジャパンを離れ、UNIVERSAL MUSICへ移籍。海外ツアーも行った。
本人たちもインタビューでは事あるごとに「新しいことに挑戦したいんです」と公言してはばからなかった。一流でありながらさらに新境地を目指そうとする彼女たちは「Dream Fighter」の歌詞そのもの。いつか宇宙でライブをするアーティストがいるなら、きっと第一号は彼女たちになるんじゃないか。そんなことを考えてしまう。


Perfumeとは、常に新しく、挑戦的な存在であるべき。みんなの期待や夢に応えていく存在なんだ。
でも、そんな自分たちに少し疲れてきてるんじゃないか。
ここ最近の彼女たちを観ていて、そう感じたのも事実だ。

予想より第一線にい過ぎた

彼女たちは今年27歳。体力の衰えも感じ始める頃だし、結婚や出産、自分の人生のステージについて、考えることもあるだろう。事実、今回のライブではPerfumeを降りようと思ったことを暗にほのめかすような発言も散見されて「すわ結婚か」とドキドキしたファンが多かったはずだ。
先述したナタリーのインタビューでも「Perfumeがここまで第一線で走り続けられてるとは思ってなかった」と素直な驚きと戸惑いが綴られていた。

東京ドームで結成10周年ライブをやった頃、次のアニバーサリーイヤーにはPerfumeがここまで第一線で走り続けられてるとは思ってなかったんですよ。時代はどんどん変化していって、流行もどんどん変わっていく中で、自分たちがここまで活動していられるなんてホントに想像してなかった。私たちは今、誰も想像できなかった未来を生きてるっていう感覚なんです。そういうこともあって、そろそろ一度自分の行く末についてちゃんと考えてみるべきなのかもしれない、っていう気持ちが生まれたんです。記念の年が終わったときにちょうど27歳になるし、それくらいのタイミングで考えようかなって。


Perfume「STAR TRAIN」インタビュー - 音楽ナタリー 特集・インタビュー あ~ちゃんの発言より

挑戦者でいることの孤独

象徴的だったのは、SWITCHのインタビューでのっちが志村けんに投げかけた質問だ。

のっち「志村さんの最終形のヴィジョンはありますか?私たちは常に目標を掲げてそこを目指してきたんですけど、もうこれ以上ないだろうなって目標を叶えてしまった時の不安感があって」
志村「でも今までやってきたことが自信になってきてるでしょう。そうなると急にステップアップできないよね。する必要もないし。あとはそれをどう維持するか。どう薄く右肩上がりでいくか。ちょっとでもいいから右肩で上がっていけばいいやってゆとりを持ってやってけばいいと思う。勢いでやっている時よりも深みのあるものができる気がするよね。そういうのを重ねて…」
あ~ちゃん「(泣きながら)やさしい…。うれしい…。こんな巨匠にこんなこと言ってもらえて…。まだがんばれそうです」


2015年11月14日放送 SWITCHインタビュー 達人達(たち)「志村けん×Perfume」より


志村けんとPerfume、ジャンルがバラバラな二者の対談はどこに落ち着くんだろうと最初は不安だったけど、視聴後に感じたのは「エンターテイメントのトップであり続けることの、なんと孤独なことか!」だった。


Perfumeのこの強迫観念にも似た「チャレンジし続ける」というスピリットはどこから来たのだろう。それは、売れなかった下積み時代、MIKIKO先生や関さん、真鍋大度など新進気鋭の人材に囲まれて育ったこと、何より本人たちの「周囲の人の期待に応えたい」という根っからのサービス精神によるところが大きい。動かないと死んでしまう鮫のように、彼女たちはこれからも常に何かを超えるために戦い続けるんだろう。

挑戦し続けることは素晴らしい。でも

あの素晴らしかった武道館ライブを終えて、彼女たちに私は一言だけ言いたいのだ。
私がPerfumeを愛しているのは、ハイテクな演出が見れるからでも、世界の大舞台で成功しているからでもない。
観客と常に真摯に向き合って最高のものを提供し続けてきたからだ。
新しいとか古いとか、そんな軸でPerfumeの価値はもはや収まらなくなっている。
だから自分たちが生きたいように突き抜けてほしい。そこからの景色が観てみたい。きっとみんなついていくから。

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