二度漬け禁止

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佐藤日向が星見純那を演じることのコンテクストについて~少女歌劇レヴュースタァライトより~

アニメ「少女歌劇レヴュースタァライト」で佐藤日向ちゃんが演じる星見純那ちゃんを見て「ああ、これは本当に日向ちゃんのための役だな」と思いました。彼女がこの役にものすごくシンパシーを感じながら演じているだろうとも。
ただ、この点については、声優・佐藤日向になる前の彼女を知っている人とそうでない人では、見え方が全く異なるだろうなと思いました。
佐藤日向ちゃんが星見純那を演じるということは、とてもハイコンテクストです。
私はそれをとてもエモい気持ちで見ているので、このエモさが伝わればよいなという気持ちで本記事を書きました。この記事がスタァライトの深い世界観をもっと楽しむための一助となれば幸いです。記事を読み終えることには、読者の皆さまが佐藤日向ちゃん演じる星見純那ちゃんをより好きになっていますように。

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アイドルは、遊びじゃない

憧れの女の子がリーダーをつとめるアイドルグループに入って、同じグループで三年間活動させてもらって。さくら学院っていう成長期限定のユニットなんですけど。私は歌とダンスがうまいと思い込んで生きてきたんですけど、ここでBABYMETALとか三吉彩花ちゃんとか松井愛莉ちゃんと会って、「あ、私すごく下手くそだ」って気づいて。それで高3の時にスタァライトのオーディションで合格して。ここ(アイドル時代)で得たものをここ(スタァライト)で活かしてる感じです。

佐藤日向さんの人生グラフ さくら学院時代がどん底 : BABYMETAL TIMES

佐藤日向ちゃんは声優として活動する前にさくら学院というアイドルグループに在籍していました。さくら学院は小学校5年生~中学校3年生までの女の子たちが在籍する成長期限定ユニットで、BABYMETALなどのアーティストや、女優の松井愛莉ちゃん、三吉彩花ちゃんを輩出したグループです。
さくら学院で佐藤日向ちゃんは4年間活動していましたが、この期間を彼女はテレビ番組で人生グラフの「悪い時」の最底辺として表現していました。
実は、全くこれと同じこと先輩の三吉彩花ちゃんや松井愛莉ちゃんもやってたんですよね。自身の人生グラフでさくら学院時代を底辺にするという……。
自分の人生の中でアイドルグループ時代が最もつらい時期だった、という話をメンバー複数人がしているわけです。
特に佐藤日向ちゃんや松井愛莉ちゃんはさくら学院立ち上げ時のオリジナルメンバーでした。現体制のさくら学院より手探りの模索が続く不安な日々だったことでしょう。


さくら学院には、アミューズのキッズ部門からオーディションで集められたよりすぐりの女の子たちが集まります。東大に入るよりもずっと高いハードルをくぐり抜けた少女たち。容姿に優れていることはもちろん、歌やダンスのパフォーマンス力が求められます。
蝶よ花よと育てられ、キッズモデルとして華々しく活動していた子たちが、いきなり同じアイドルグループに入って、自分より遥かに秀でた才能を初めて目の当たりにした時の衝撃たるや。生まれて初めて味わう大きな挫折や嫉妬に苦しんだ子も多いはずです。
特にさくら学院立ち上げ時メンバーには「自分の中にはモンスターがいる」と言い放つ異才・中元すず香(BABYMETALでメインボーカルとして世界的な舞台に立つ)や、日向ちゃん自身がインタビューの中で、自分が芸能界に入るきっかけとなった憧れの存在として語る武藤彩未ちゃんがいます。

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SU-METAL(中元すず香)と武藤彩未


はたから見たら、その舞台に立てた時点で十分な才能だと思うんですが、本人たちにとってはそういう問題じゃないんですよね。
悔しい、負けたくない、なんで自分はあの子のようになれないんだろう……自尊心をすり減らしながら、自問自答する日々だったと思います。もちろん、彼女たちもプロなので、そんな気配は見せないで、さくら学院在籍中は元気いっぱい活動してくれていたわけですが……。
佐藤日向ちゃんは14年3月にさくら学院を卒業し、ソロ活動をスタートさせます。


佐藤日向を語る上で外せない武藤彩未の存在

様々なインタビューで彼女が繰り返し語る「憧れの女の子」である武藤彩未とはどんな人物なのでしょうか。
ここで簡単に武藤彩未ちゃんの経歴を紹介しましょう。

8歳でモデルデビュー。佐藤日向ちゃんと同じ事務所アミューズのキッズ部門に所属し、様々な雑誌やCMに出演。2008年にアニメ「絶対可憐チルドレン」のために結成された可憐Girl'sに参加(同グループには中元すず香も参加。当時はPerfumeの妹分としてメディアに取り上げられていた)。この時「Animelo Summer Live 2008 -Challenge-」に史上最年少アーティストとしてさいたまスーパーアリーナに立つ。2010年4月よりさくら学院に所属、初代生徒会長として2012年3月まで活動。2013年よりソロ活動を開始。2014年にアルバム「永遠と瞬間』でメジャーデビュー。作詞は1980年代のアイドルの作詞を手がけた三浦徳子や森雪之丞、作曲はポルノグラフィティやいきものがかりのプロデュースを手がける本間昭光などが担当。15年12月に芸能活動休止。その後海外留学のために日本を発つ。約2年の海外留学を経て、2018年8月24日に日本へ帰国。今後の日本での活動がファンから期待されている。

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武藤彩未ちゃんを観たことがない人に一言で武藤彩未を説明すると「完全無欠のスーパーアイドル」という答えになるかと思います。(悲しいことにこのイメージが後に彼女を自縄自縛にしてしまったのでは思うのですが)
歌やダンス、お客さんへの魅せ方などパフォーマンスに定評があり、プロ意識が高く清廉潔白でストイック。さくら学院父兄はもちろん、メンバーからも敬愛されるさくら学院の象徴とも言える女の子でした。
可憐で清楚なビジュアルは優等生的ではありますが、ひょうきんな一面もあるので、親しみやすく誰からも好かれるタイプで、日向ちゃんもご多分に漏れず相当慕っていたようです。
特に日向ちゃんの場合、キッズモデルとして芸能界に入ったきっかけが、同じキッズモデルとして活躍していた武藤彩未ちゃんでした。彩未ちゃんの背中を追いかけてモデルになり、同じ事務所に所属し、同じグループで仕事をするようになった______そう、タレント佐藤日向が生まれたのは、ある女の子の「きらめき」に魅せられたからだったのです。
14年4月に日向ちゃんがソロ活動を始めたタイミングでも、武藤彩未ちゃんは同月に華々しくメジャーデビューし、ライブやアルバムリリースを精力的にこなしていました。
日向ちゃんにとって彩未ちゃんは、ずっと背中を追いかけている憧れの存在に違いありません。それは、武藤彩未ちゃんが芸能活動を休止してしまった今でも。
その証拠に彼女のTwitterの画像は今でもこのようになっています。

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「終わりは、始まり。」
武藤彩未ちゃんの歌には「OWARI WA HAJIMARI」という歌があります。この画像は武藤彩未ちゃんが活動休止を宣言した15年12月16日に日向ちゃんが彩未ちゃんを思ってアップした画像でした。まさに歌のとおり、アイドル武藤彩未の終わりと新たな始まりを応援する意図が込められています。それ以来日向ちゃんはこの画像をTwitterのヘッダー画像にしてくれてるんですよね。さくら学院の絆、日向ちゃんの彩未ちゃんへの尊敬と愛情の深さに、父兄としてはじんわり来てしまいます。


そして、先日8月25日(土)の「Animelo Summer Live 2018 "OK!"」では佐藤日向ちゃんがスタァライト九九組として出演しました。
さくら学院メンバーの中では2008年の可憐Girl's出演依頼のアニサマ出演であり、憧れの武藤彩未ちゃんが立った同じステージに、約10年越しで立つことができたわけです。

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私が小学4年生の時にある女の子3人組が最年少でアニサマの舞台に立ちました。可憐Girl'sの3人です。絶対可憐チルドレンは私が初めてアニメに興味を持つ作品だったし歌とダンスをやりたいという気持ちをあの頃の私にくれたのもこの3人でした。
どうやったら同じ景色を観ることができるのか。さいたまスーパーアリーナがどのくらいの人が集まる場所なのか。あの時はまだ何も分かっていなくて夢の更に夢を見ていた感じです。
それでもいつかは同じ景色を観てみたいって気持ちをずっと心の中に持っていたから10年経った今こうやって9人の仲間と一緒にあの場所に立てることが私はすごくすごく嬉しくて、いや嬉しいなんて言葉じゃ足りないくらいです。同じ場所に自分が立てると思うだけで今から震えが止まらないんですがしっかり目に焼き付けてきますね!!
そして一緒に忘れられない熱い夏にしよ!
今年の夏、スタァライトしちゃいます!
長々とありがとうございました!すっきり


___佐藤日向ツイッター画像より引用・書き起こし 本文ママ

日向ちゃんが彩未ちゃんと同じステージに立つ日をどんな気持ちで迎えたのかが、よくわかるツイートだなと思います。
しかも、よりにもよってアニサマの前日8/24に、憧れの人・武藤彩未が留学を終えて日本に帰国するという……。なんだこのアニメみたいな展開。アイカツか。

さくら学院でも頻繁に登場する少女たちの「きらめき」

レヴュースタァライトの作中で頻繁に登場する「星」「かがやく」「きらめき」というワードは、日向ちゃんが所属していたさくら学院の歌の中でも象徴的に扱われています。
これはさくら学院が、単なるアイドルグループではなく、スーパーレディーを目指す女の子たちの教育機関という立ち位置であり、夢を目指す女の子たちを歌ったものが多いことに由来します。つまり、レヴュースタァライト劇中の「未来の舞台女優を目指す、キラめきに溢れた少女たちが通う聖翔音楽学園」と役割が非常に似ているわけです。

ライバルと親友の顔を持つふたりだから
重ねた手には 星がキラメく きっと


____さくら学院「FRIENDS」

今すぐこの殻を打ち破って
キラメキのかけら探すんだ
もう迷いがない訳じゃない
それでも進むよ!

ひたすら さりげない優しさで
光を照らすようなキミが
ただ 可能性のつぼみを
信じてくれるから
見ていてね
私の Starry Days☆


____さくら学院「キラメキの雫」

はばたけ 夢に向かってまっすぐ
明日じゃなくていますぐ
だって待ってなんかいられない
輝く希望の嵐 強い絆で
キラメキ放ち 最高の未来 目指そうよ


____さくら学院「夢に向かって」

改めてみると、レヴュースタァライトの歌と言われてもあまり違和感がない歌詞になっていますね。すごい。


きらめきに魅了された星見純那と佐藤日向の物語

さて、レヴュースタァライトのアニメ本編に話を戻します。
星見純那メインで描かれる2話「運命の舞台」。
純那が聖翔音楽学園に入学した理由は8歳の頃にみた舞台。ステージできらめく女優をみて「私もああなりたい!」と願ったことが、舞台を志す理由となっています。
5歳の時にカタログの中で輝く武藤彩未ちゃんをみて「私もこうなりたい!」と芸能界入りした佐藤日向ちゃんと、モチベーションが非常に似ているんですよね。
以下2話より純那ちゃんの台詞抜粋です。

一生懸命やっても、全然追いつけない。
どんなに努力しても追いつけない距離。
だからって、諦められるわけがない。
なりたいの、スタァに。

でも、チャンスが来たの。
私自身のきらめきで、立てるかもしれない。
舞台の真ん中、スポットライトの中心。
なれるかもしれないの。私がスタァに!

人には運命(さだめ)の星がある。
綺羅星、明け星、流れ星。
己の星は見えずとも見上げる私は今日限り。
99期生 星見純那!
掴んでみせます 自分星!!

ずっと勉強ばかりしてきた私が、初めて見つけた、きらめく夢。
偉い人、賢い子じゃない、私だけの星。
出会ってしまった、巡り会ってしまった。
あの日、私は生まれ変わったの、舞台少女に!
でも、どんなに努力しても、いつだって届かなかった。
前を走り続けるあの人たちには。
スタァになるためなら、私は!
このまま、埋もれてなんかいられない!絶対に追いついてみせる!
負けない、負けられない!絶対に追いついてみせる!!

諦めない。私だって舞台少女よ
私だって、スタァになりたいの!

アニメ視聴時に、私はこの台詞を聞きながら、日向ちゃん自身の言葉ではないかと思うくらい驚きました。それくらい役と彼女の心情が重なって見えたからです。同時に「彼女はどんな気持ちで純那ちゃんを演じているんだろう」とも。
きっと役に共感しながら、大切に演じているんだろうなあ。

佐藤日向が掴む自分星をみてみたい

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レヴュースタァライト、ドルヲタからすると「佐藤日向にその役をやらせるのか!!」というインパクトがあります。リアルと物語が共鳴するようなおもしろさがある。これも2.5次元の楽しみの一つですね。
星見純那ちゃんたち舞台少女がどうなってしまうのか、まだ本編では描かれていませんが、佐藤日向ちゃんと一緒に見守っていきたいと思います。


youtu.be

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