二度漬け禁止

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映画「13月の女の子」を観た

「13月の女の子」舞台挨拶に行ってきました。前半は舞台挨拶の話、後半は映画の感想と考察(ネタバレあり)です。ネタバレ回避したい方は前半だけ見るなどしてください。

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舞台挨拶

  • この日の登壇は小宮有紗さん、戸田彬弘監督、田野優花さん、北村優衣さん、石川瑠華さんの5名。上映前の舞台挨拶なので、みんなネタバレ回避しながら探り探りのお話でした。
  • 制服姿での撮影について、現在26歳の小宮さんは複雑な気持ちもあったそうですが、「いうて私まだ仕事でバリバリセーラー服着てるんだけどね!」の一言に会場からは笑いが。(ラブライブ !サンシャイン‼︎のAqoursとしての活動は制服姿がデフォルト)「出演してる子の中には女子高生もいて。私がかなり年長の方なので」「作中の制服はしっかりしてかなりリアルなものなので、私単体でみたらイケるかなって思うんですけど、リアルJKの隣だと厳しい」それを聞いた年下の他キャストが「全然!かわいかったですよ」とフォローすると「気を遣わせてしまった…」とつぶやく場面も。Aqoursではリラックスして年齢上下関係なく自然体なので、先輩らしい一面を見せる小宮さんが意外でかわいかったです。
  • 撮影してる時はまだ寒い季節だったので、撮影もつらかったらしい。「山に向かって走るシーンがあって、戻ってきた時みんな寒そうでヤバかったよね」「小さいストーブにみんなで脚を寄せ合ってた」
  • この日は監督の誕生日で、舞台挨拶の最後に、サプライズで有紗ちゃんから監督へお花のプレゼント。監督も嬉しそうでした。
  • 本作品はコロナの影響で上映が一度延期になったそうで、「映画を観ていただくとわかるんですが、このタイミングで観ることに意味を持つ映画になった」とのこと。この言葉の意味、映画を観ながら「ああ、なるほど…」と理解しました。現実とリンクする瞬間がある。


さて、以下は映画の感想と考察です。これから観に行く予定があってネタバレを避けたい方はよしなに。







感想と考察

  • 13月の女の子、世界観と絵作りがしっかりしていて、引き込まれる映画でした。監督の戸田さんが「スカッとジャパン」のディレクターと事前情報で知っていたので、なんとなくあのゴジップなイメージが頭にあったのですが、意外なことに真逆の空気感を持つ作品で、私は好きなやつだった。重たくて切なくて綺麗な作品が好きな人にはおすすめ。
  • 主人公の2人の同級生が死によって引き裂かれ、お互いを強く求めた結果、時空を超えて別の姿となってまた出会えるお話なのですが、転移した先が災害後の荒廃した世界だったことから、単なる学園SFファンタジーでは終わらない、深みのある作品に仕上がっています。後半は、極限状態における人間の裏切りや友情を描くサバイバルサスペンスのようになっていて、コロナ禍で殺伐とした世界を彷彿とさせる、不思議な現実とのリンク感が味わえる作品です。監督の上映前コメントを思い出しながら「この感覚か〜」となった。作り手側の意図したところでは全くなかったようなので、皮肉というか運命的というか。
  • さくら学院父兄的には元メンバーの杉本愛莉鈴ちゃんが出演してて「大きくなったな〜」と勝手に親戚のおばさんみたいな気持ちになった。パンフみるとプロフィールからさくら学院の名前が消えていて、ちょっと寂しかったり。(さくら学院を初等部で卒業して、その後他事務所に移籍してるのでそれはそう)
  • 冒頭で絵に描かれてる桜とイチョウが並ぶ風景、あれって一穂と巫女の未来の暗喩なんだな。桜は春、イチョウは秋で、同じ世界線で交わることが本来ないから。そう考えると巫女の登場シーンで春にどんぐりや松ぼっくりがばらまかれる演出に納得がいった。
  • ラストは人によって捉え方が変わりそうですが、私は、2人の女の子がお互いを思い合うあまり、永遠に出会えなくなってしまった悲しいお話なんだと思いました。あのラストの世界線だと一穂と莉音は出会えても、本来の巫女に一穂は出会えないままだから。一穂「巫女のいない世界なんていたくない」 巫女「元気な姿で一穂に会いたい」っていう願いが、莉音を媒介にして堂々巡りになるだけで同時には叶わないということなのかなと。
  • この映画の不満を挙げるとするならば、小宮有紗主演と謳うわりに最初のほぼ30分しか小宮さんが出ないこと。ファンとしては正直肩透かし感がある。キャラクターの立ち位置上仕方ないんだけども。スケジュールとか予算の問題もあるのだろうか。劇中かわりに尺を割いて出てくるほぼ主演の荻原みのりさん、安達祐実似の美人で、演技と存在感が素晴らしい。ちゃんと、有紗ちゃんが演じる一穂が自分の中に入ってる演技なんだよなあ。この映画で一気にファンになりました。スタダの子なんですね。しゃちほこの秋本さんがメインキャストであることをふまえても、結構スタダ勢が強い映画。萩原みのりさんのWikipedia読んでて目標とする女優に橋本愛を挙げてて、フーン…となった(橋本愛写真集「あいの降るほし」を持っているオタク)
  • 有紗ちゃん、作品によってはヤンキーとかキャバ嬢とか圧強めの役もやるのに、暗い子の役も多いよね。振れ幅がよい。有紗ちゃん演じる一穂、あのもったりした喋り方とか背中を丸めて歩く感じとか、妙にリアルなんだよな。冒頭の「唐木田さんかわいいから」って巫女に話しかけるシーンは「お前の顔で言うんかい」感ありましたけども。
  • 美術室のシーンは「俺は、同級生の女の子に、ヌードを描かれる小宮有紗が観たい!」という監督の心意気が伝わってきてよかった。わかるよ…。人形みたいな造形の人なので、ああいう耽美なシーンが映画的にスッとハマるんだよな。小宮有紗の肩のほくろを見るたびに「インテリジェントデザイン…!」ってなる。
  • 主題歌の「一期一会」、この映画のためにあてがきされたのかと思うくらいピッタリで、作品の持つ切なさを増幅させるいい曲だった。(実際は映画より3年前にリリースされています)パンフをみると亡くなった友人を想って書いた曲とのことで、失われてしまった時間に対する切なさが胸をうつ歌なのはそういうことかと納得。エンドロールでこの曲がかかると、映画と共鳴してたまらなくなってしまった。湯木慧さんをこの歌で初めて知ったのですが、この曲が入っているEP、どの楽曲もよくて。サブスクにも入ってるので、気になる人はぜひ聴いてみることをオススメします。レーベルLD&Kなんだなあ。打首獄門同好会などのロックなイメージが強かったので、女性シンガーソングライターも抱えてたのねと意外。飲食店やライブハウスもやってるLD&K、コロナ影響で今かなり苦しいと聞くけど、がんばって湯木さん売ってほしい。


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結構細かいところに暗喩や伏線があるように見えたので、2回目観るともうちょっと理解が深まるかも。キャストもつっこんだ話は話しにくそうにしてたので、上映後舞台挨拶とかやってくれないかなあ。


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